福地 の 滝 [八頭郡郡家町]
 私都川支流の谷川にかかる。地名から「福地(ふくち)の滝」とよぶ。高さは約25 m。世間にあまり知られないまま、山中にひっそりと静かなたたずまいを見せている。
 鳥取市から国道29号を南下し、JR東郡家駅を過ぎたところで左の県道に入り奥へ 進む。福地集落のはずれを標識に従って左の林道に入り、杉の木立を縫って2km余り進 むと滝の解説板が立つ。そこから右の山道に入り、杉と自然木の混生する中を300m ほど上ると、水音が高まり、杉林の向こうに滝が見えてくる。
 水量はそれほど多くはないが、水流が荒々しい岩盤に砕けて広がり、美しい紋様を見 せている。湿って黒く光る岩肌が、ほの暗い空間に映えて不気味さを覚える。
 滝の左の岩壁には”不動明王”と刻されていて、古来、それを祭神とし「お滝さん」 とあがめられてきた。礼拝堂が建てられ、毎年夏には例祭が行われて、相撲大会などで 賑わい、また、病気平癒の祈願も盛んであったが、大正初期より廃れてきたと聞く。滝 の前の広がりに、草に埋もれた石段があって、往時の跡をうかがわせる。



滝谷 の 大滝 [八頭郡八東町]
 八東川の支流で扇ノ山を源とする細見川にかかる。地名を付して「滝谷(たきだに)の大滝」とよぶ。 高さ17m。上流にある”八東町ふる里の森”の玄関口に位置する、蛇女の伝説を秘めた美しく風情のある滝である。
 鳥取市から国道29号を南下し、八東町富枝地区で左の細見谷に入る。妻鹿野地区を過ぎてしばらく行くと右側に案内標識がある。 そこから石段を下りて谷川沿いの小道を上流に向かうと、70mほどで滝の前の川原に着く。
 両側から迫る岩間を流れ出た泊流が、荒々しい岩盤に砕けて跳ね、周りの緑に映えて優雅な姿を見せている。 青く広い滝つぼの前には、川の中に取り残された恰好で小高い岩山があり、その上にそびえる古木の根元に「御滝大神」が祀られている。
 この滝には「うわばみの乳やり」という伝説がある。女の姿に化けた蛇が、夫婦になった男に蛇体を見られてしまい、自分の目玉をえぐり取って乳のみ子に与え、滝つぼの中に姿を消したという。 妖説を秘めた深い滝つぼは、訪れる人に幽遠な趣きを感じさせる。



千丈 の 滝 [鳥取市河原町]
 千代川に注ぐ曳田川上流の秘境にかかる「千丈(せんじょう)の滝」。高さは約80mで、県内有数の景勝地”三滝渓”の主役をなしている雄大で美麗な滝である。
 鳥取市から国道53号を南下。河原橋手前から県道に入り、曳田川沿いに奥へ進む。杣小屋地区を過ぎて3km余り行くと林間駐車場がある。秘境が迫る右手の山肌には「布引の 滝」が細く落ち、すぐ上流の木立隠れに「虹ケ滝」が見える。やがて前方に管理棟、レストランが見えてくる。 そこから遊歩道に入る。左の川向こうにキャンプ場を見ながら、息がはずむ急な段々坂を上り、古木の林を抜けて約1kmで赤い吊橋に着く。
 高さ40m、幅41mの峡谷にかかる吊橋上から眺める滝は、渓谷の行き止まりに切り立つ岩肌を、幾条もの白流が踊り砕けて滑り落ち、しぶきをあげて千丈の谷底へ吸い込まれている。 その様相は、周囲の壮大な原生林の緑に映えて、まさに絶景である。紅葉時の眺めも素晴らしく、四季に移り変わる幽谷の自然美を満喫させてくれる。 吊橋を渡って段々坂を上り林道を少し奥へ行くと、川向こうの山肌に「白糸の滝」が落ちる。



不動 滝 [鳥取市用瀬町]
 千代川の支流、安蔵川に注ぐ中津美渓谷にかかる「不動(ふどう)滝」。高さ約20mで、古くは不動尊信者の行場として信仰を集めていた、壮厳で美しい滝である。
 鳥取市から国道53号を用瀬方面へ。右川向こうに「流しびなの館」を眺めながら用瀬の街を過ぎて、安蔵鹿の子地区から右の県道に入る。 安蔵川沿いの山口集落を過ぎて約700mの地点に案内標識があり、それに従って左の林道を進み、3kmほど先から山道に入る。 自然林と杉木立が混在する中、大小の瀑布の音を耳にしながら奥へ。20分足らず上ったところで峠への道と分かれて、右手の道を200mほど行くと滝に着く。
 モミジ、カシなどの緑に覆われた断層の岩間から、とうとうと流れ落ちる白流。荒々しい岩壁に砕ける水煙。 辺りの岩肌はしぶきに濡れて輝き、深い滝つぼは清くすんで幽遠な趣きを感じさせる。”八百八谷”といわれる幽谷の見事な景観である。
 この滝には、古来、不動明王を分祀した祠が建ち、多くの信者の修業の場であったと聞くが、今その形跡はなく、本尊はふもとの長戸呂橋のたもとに祀られている。



山王 滝 [鳥取市佐治町]
 三国山、高鉢山の谷あいに源を発し、佐治川ダムに注ぐ山王渓谷にかかる「山王(さ んおう)滝」。佐治谷の秘境にあって、高さは15mと高くはないが、年中水量が豊富 で美しく、原生林の密生する周囲の景観をよくひきたてている。
 鳥取市から国道53号を南下し、用瀬の街から右折して佐治谷に入る。山峡の景観が 深まって行く中を、奥地へと進んでトンネルを抜け、ダム上流の中地区から標識に従っ て右折する。500mほど行くと村営の宿泊・研修施設が建ち、そこから標識の指す遊 歩道に入る。清流をまたぐ橋を渡って、急な坂道を上りつめると、うっそうとした大自 然林の中になだらかな道が続く。300mほど進んだところの分かれ道を谷底へ下って 行くと、荒々しい石の狭間を縫う渓流の向こうに、水煙をあげる滝が見えてくる。
 切り立つ岩壁の切れ目から、太い白流がごう音を発し勇壮に落ちている。しぶきの跳 ねる広い滝つぼは青々と水をたたえて、昇竜神話を想起させる。滝頭には不動明王の石 像が祀られていて、訪れる人を見守っている。



亀 滝 [鳥取市佐治町]
 千代川支流の佐治川に注ぐ谷川にかかる「亀(かめ)滝」。水量は少なく、山深い谷間 にあって、30m余りの岩壁の頂上から、静かに落ち続ける素朴な滝である。
 鳥取市から国道53号を南下し、用瀬から右の佐治谷に入る。加瀬木地区から右の津野 地区へ向かい、佐治アストロパークを過ぎて、津野集落の手前で左の農道に入る。田園、 梨園を抜けて1.5 kmほど進むと小さな広がりに着き、正面に滝の標識が立つ。そこから遊 歩道に入り、自然林と杉林を縫って200m余り上ると、荒々しい岩壁の広がりの狭間か ら、一条の水流が落ちるのが見えてくる。これが「亀滝」だ。
 高い岩間を踊り出た白流が一直線に落ち、地際で霧状となってあたりを濡らしている。 昼なおほの暗い静寂な谷底で、パシパシと飛沫の跳ねる音だけが耳に冴え、不気味さを覚 える。昔、この滝は「神滝」と称されて、秋ごとの例祭で花籠や相撲が奉納されて大変賑 わったと聞く。今では、ご神体は近くの「高山神社」に合祀されていて、滝の右手の小高 い洞窟に残されている祠とご神灯が、わずかに往時をうかがわせる。