雨滝 [鳥取市国府町雨滝]
 扇ノ山を源とする袋川上流の雨滝川にかかる。高さ40m。豊富な水が豪快に流れ落ち、”日本の滝100選”にも選ばれた、国府町の代表的な観光地となっている。
 鳥取市から県道を中河原方面へ。最も奥地の雨滝地区から標識に従って右折し、約2km進んだ行き止まりの駐車場から遊歩道を下りる。すぐ近くの左正面の山肌には、白布を垂らしたような幾条もの白流があやなす「布引の滝」が見える。遊歩道を下りきった広場の正面に、飛瀑に煙る「雨(あめ)滝」が姿をあらわす。
 原生林に覆われた玄武岩の断崖を、白流がごう音を発して落下するさまは、勇壮で神秘的である。滝つぼの前の小岩の上に祀られた不動尊の石像が、しぶきを浴びながら、訪れる人を見守っているようである。正面の橋に立つと、冷たい飛沫で衣服が湿る。
 大自然林の巨木に囲まれた滝の前の広場には、休憩施設が整備されていて、休日には訪れる人で賑わう。ここから段々の山道を上り、左に800mほど行くと「筥滝」があり、途中で右に分かれる自然歩道を進むと「トヨ滝」に通ずる。



筥 滝 [鳥取市国府町雨滝]
 袋川支流の雨滝川と枝を分かつ谷川にかかる「筥(はこ)滝」。多段奇観の滝で、国府町の代表的観光地「雨滝」の脇役として、幽谷の趣きを盛り上げている。
 「雨滝」の、夏なお涼しい勇壮な飛沫を浴びながら、正面の橋を渡って急な段々道を上り、案内標識に従って山道を800mほど進むと、左側の谷川にかかる「筥滝」に着く。途中の山道は原生林に覆われた緑のトンネルが続き、眼下に「雨滝」が望遠できて、素晴らしい景観を構成している。
 滝は四段になって流れ落ちており、重箱を重ねたような様相は類例が少なく、珍しい景観である。黒ずんだ凹凸の岩肌を、美しい紋様を描いて滑る白流が、しぶきを跳ねて、あたりの緑を濡らすさまは、まさに壮観で、訪れる人を十分楽しませてくれる。
 この滝には、両親をなくした”亀”という名の少年が、落としたオノを探して滝つぼに入り、行方知れずになったという「亀ガ淵伝説」がある。
 この滝への山道の途中から分かれる自然歩道を、1km足らず上ると「トヨ滝」がある。



トヨ 滝 [鳥取市国府町雨滝]
 袋川支流の雨滝川で、名勝「雨滝」の上流にかかる。高さ約25m。 その名がしめすように、樋状になった岩壁のはざまを豊富な水が流れ落ちており、 雨滝渓谷四十八滝といわれる中で、山深く隠れた奇観の名瀑とされている。
 「雨滝」の前を、飛沫を浴びながら橋を渡り、山に上って左に400mほど進んだところで「筥滝」への道と分かれ、 右手の河合谷高原へ通じる自然歩道に入る。 「雨滝」のごう音を右の谷底に聞きながら、トチ、カツラなどの巨木に覆われた山道を300mほど進んで谷川を渡り、 さらに上流へ200mほど上ると、二つの小さな瀑布が連なってあり、周囲の景観を引き立てている。 そこに標識があり、自然歩道と分かれて、谷川沿いの山すそを上流へ進むと、やがて水音が高まり「トヨ滝」が姿を見せてくる。
 狭い岩間の深い溝を走る急流が、一気に滝つぼに落下して、静寂な山峡に爆音をとどろかせ、しぶきを飛ばして周囲の緑を濡らしている。 まさに大自然がつくりだす奇観、壮観である。この名瀑も、近年、多くの人に親しまれていないのが惜しまれる。



石井谷の 滝 [鳥取市国府町石井谷]
 袋川支流の石井谷川にかかる。地名から「石井谷(いわいだに)の滝」と呼ぶ。高さは約30mで水量はかなり多い。 人里離れた山あいで、勇壮ながら孤独に落ち続けている。
 鳥取市から県道を国府町栃本地区へ。そこから右折して岩井谷集落を抜け農道に入る。 行き止まりの砂防えん堤を超えて山道へ。谷川沿いにかすかに残る足跡をたどって、右岸左岸と渡り、茂った草むらをかき分けながら、上流へ進むこと約1km。 ようやく水音が激しくなったところで右の谷川に下りると、上流に滝が見えてくる。
 見上げる滝は、意外に見ごたえがある。荒々しい岩頭を飛び越えた白流が、原生林に覆われた薄暗い谷底へ一直線に落下している。 その瀑音は静寂な山峽に響きわたり、飛び散る飛沫に濡れた黒い岩肌と水草の緑が、わずかに差し込む陽光に輝き、荘厳さと不気味さが交錯する。
 この壮観の滝も、一般には全く知られておらず、地元の人さえも、近年、訪れる者はほとんど無いという。



南 滝 [岩美郡岩美町]
 小田川支流の南谷川に注ぐ谷川にかかる「南(みなみ)滝」。高さ28m。近年、林道の完成で日の目を見るようになった、山あいに穏やかに落ちる素朴な滝である。
 国道9号の岩美町河崎地区から県道を南下し、奥へ進んで小田の集落を過ぎ、間もなく標識に従って右の林道に入る。国府町木原地区から大坂地区を経るコースもよい。林道を500mほど進むと行き止まりの広場に着く。そこのすぐ上流の左奥に落ちる。
 上流の大坂地区から流れ出し、雑木林をくぐり抜けた谷水が、二段になった岩場を滑り落ち、パシパシと黒い岩肌に跳ね返って、静寂な山あいに一抹の涼味を感じさせる。
 この滝は、地元では古くから「なあだんの滝」と呼ばれていたが、訪れる人もなく秘境の滝であった。近年、この谷あいに林道が開通し、新たに脚光をあびてきた。周辺には、カヤぶきの資料館、あずま屋の休憩舎、駐車場、トイレなどが整備され、林間遊歩道も延びて、2kmほどで大坂地区にある”いこいの里”と通じている。小鳥のさえずりや、渓流のせせらぎを耳にしながらの散策は、快適で、心を和ませてくれる。



清水 の 滝 [鳥取市国府町清水]
 袋川支流で、郡家町と裾を分ける宝山を源にした清水川にかかる。地名から「清水(すんず)の滝」と呼ぶ。高さ約10mの断層が二段に連なった滝で、小さな谷間で、小鳥のさえずりに似た水音が響き渡り、やさしいたたずまいを見せている。
 鳥取市から県道を国府町に入る。谷地区を過ぎて清水橋を渡り、清水の集落を通り抜けて、右手に分かれる農道に入る。300mほど進んだ行き止まりから、自然林と杉木立の混在する山道を約10分間歩くと、水音が高まって、谷底に滝が見えてくる。
 二段の滝であるが、下段は茂った樹木に覆われ、上段だけが全容を見せている。岩頭から二筋三筋と分かれた白流が、凹凸の岩壁に砕けて跳ね、下段の斜面に流れ落ちている。しぶきに濡れた黒い岩肌が、木漏れ日を浴びて光り、美しい。
 昔、この滝には、清水地区の氏神が祀られていて、人々の訪れも盛んであったが、明治年代に、ふもとの神社に合祀されてからは、訪れる人も稀という。滝つぼに下りる途中の岩窪に安置された、小さな不動尊の石像が、人待ち顔で孤独に滝を見守っている。



菅野 の 滝 [鳥取市国府町菅野]
 扇ノ山に源を発する袋川支流の谷川にかかる。地名から「菅野(すがの)の滝」と呼ぶ。 高さは約15mで水量は多くないが、岩肌に砕ける白流の紋様が美しく、氷ノ山の懐に抱かれて、静かなたたずまいを見せている。
 鳥取市から県道を国府町栃本地区へ。そこから右折して菅野方面へ向かう。坂道を上りつめると、扇ノ山の中腹に原野が広がり、左手に酒賀神社が見えてくる。 少し進んで右手に延びる道に入れば、800mほどで行き止まりの広場に着く。下流に繁る原生林の中の、わずかに残る山道をたどって谷底に向かうと、 すぐに水音が迫り、木立の下方に滝が見えてくる。100mほどで滝の正面に下り立つ。
 断崖一面に丸みを帯びた凹凸が並ぶ岩肌を、白流が踊り広がり、美しい紋様を描きながら、しぶきを飛ばして落ちている。 その様相は、青谷町御滝山の「妙円滝」に似て、柔和な流れが、居並ぶお地蔵さんを撫でさするようで、「地蔵滝」と呼びたくもなる。
 この滝の下流には、ゆるやかな滑(なめ)滝が続き、渓谷美を盛り上げている。